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「つれづれなるままに」 のぺーじにようこそ

   このページは、店主のひとりごと、店主の日記 のようなページです。
   どうぞ、ごゆっくりと。






  − つれづれなるままに − No.015


     *** 老人と猫の親子 ***


主人の父は80歳。 田舎で一人暮らしをしています。
7年前に母は、癌で亡くなり、それ以来の一人暮らしです。 

生まれ育った田舎のこと、近くのおばちゃんが声を掛けてくれては、
買い物をしてくれ、老人仲間が、朝には顔をだし、近くに住む主人の
妹は、何かと気に掛け、その子(孫)達も何くれとなく車での用事を
手伝ってくれるので、一人暮らしの心細さや、寂しさにも代えがたい
居心地のいい所なのでしょう。

元気な時はいいのですが、・・・病気になった時が厄介で・・
三年前、動脈瘤ということが判り、手術が必要ということで、
やむなく我が家にやって来ることになりました。

13時間にも及ぶ手術にも耐えて、今では、田舎に戻り鍬やなたを持ち
聖護院大根やサトイモ、じゃがいもなど・・ お米以外の日常 食べる
野菜は殆ど自家用に作っています。

健康のために毎日やらなくてはいけない仕事だと、常日頃言って
いるのにはびっくりです。

そんな風で、凄く元気ということは・・・その”元気”を周囲の者にも
振り分けるわけです。

夏と冬は必ず私達は田舎へ帰リます。
お正月の休みは寒いのと休みも短いこともあって食事の事くらい・・
しかし、夏はそうはいきません。

そう広くはないとはいうものの、我が家からくらべれば、それはひろい
原っぱに相当するほどで・・夏の草むしりが待っています。

丸二日は、日が暮れるまで腰をまげ、麦藁帽子に、手ぬぐいを首に掛け・・・
自宅に帰ってきて一日は、大の字になってしんでしまう私です。

父の趣味は盆栽。
それは見事な鉢が幾つもあります。

手術のため 我が家に来ている間には義弟が水遣りをしていてくれて
いたものの、あつーい夏を越して幾つかは枯れてしまったとか。


手術で我が家に来る数年前の夏のこと・・・
物置にしている少し傾きかけた小屋の屋根にネコが・・・好きな私は声を、
かけると、ネコは立ち止まって見ています。

すると、やおら父は、庭の小石ともつかないほどの砂土を握りネコに向か
って、投げつけたのです。

「ああぁぁーー  おねがぃーーそんなーーーー」 声になったかどうか?
こんな事があり父のネコ嫌いが、わかりました。

きっと、芽挿しをしている やわらかい土を掘り返したり、オシッコを
したり大切な、盆栽の鉢を倒したり、するのでしょうか・・・
解らないわけでは、ないけど・・でも、石を投げなくても・・と、

手術のために我が家に数ヶ月、いや、経過が思わしくなければ、そのまま
同居になるだろうと、思った時に、悩みました。

猫嫌いの人にとって、一匹ならず、五匹もいたら、これは、想像を絶する
ことでしょう!!

悩んだとは言うものの、“好き”と”嫌い”の何処らあたりで折り合いを
着けるかと、いうことで悩んだわけで・・・

父には話しました。
『ネコが5匹、・・私の命です。これだけは譲れないので覚悟して下さい。』
“お願い”というより つきつけた! と、いう方が、正しいかもしれません。

父と一緒に暮らす事でこの事だけが心配の種でした。
私のいない時に蹴飛ばされはしないか、叩かれはしないか、と、・・・。

手術の成功の後、数度の検診で全く心配の無いという事で、父は故郷へ帰り
ました。 
ネコ達とも程ほどの折り合いをつけながら、心配した事は何もなく・・・

昨年の夏、いつものように帰りました。
父が、ポツリと、いいます。 『子連れのねこが庭にやって来るからエサ
やってる』・・・???

家の中には入れないものの,田舎のことです。軒下や隙間だらけの物置など 
雨、露、しのげる所には困りません。

父の話では、二匹の野良猫が、すごい喧嘩をして物置のガラスに体当たり
をした際、割れたガラスで後ろ足を傷めたらしいと、その足を引いてる
ネコが小猫を生んだと・・
あの足では、自分のエサにも困るだろうから、日に一度やってるんだー、と。

ノラの特徴で傍には来ません。チラッと、見えたグレーの小猫に会うのを
楽しみに、この正月、帰りました。

元気に親子で姿を見せてくれました。我が家の家ネコと比べると全体に
小さめに思えるものの美しいチンチラ・シルバー系のクルンとした瞳、
母ネコも一歩 引いた処から見守っています。

庭の片隅がその親子の縄張りなのか小猫は昼となく、夜となく、その辺り
に、姿をみせます。

夕方、裏庭の戸の辺りから泣き声が聞こえてきました。
『ほら、腹が減ったとよ』と、いって足元にまつわりつく子ネコを、蹴りを
入れることなく夕ご飯を、やっていました
 
一人暮らしの父も一日一度はこの親子と話をしているようです。
我が家のネコどもが、父のネコ嫌いの何かを、はずしてくれたのでしょうか。 

ネコのあの物静かで大げさでないハートが父の心に語りかけたと、疑う事
なく信じています。




     (メールマガジン 未掲載)









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