「つれづれなるままに」 のぺーじにようこそ
このページは、店主のひとりごと、店主の日記 のようなページです。
どうぞ、ごゆっくりと。
| ■ つれづれなるままに − No.031 |
| ☆☆ 忘れられないお客様 ☆☆ もし、癌ですと、いわれたら・・・ もう随分前になりますが、華奢な体で袴姿で来店されたお客様となぜか 息投合してしまって、勢い長話になった事があります。 弓のお稽古の帰りだそうです。 美しく凛々しい立ち姿にサバサバっとした語り口、海外暮らしが長かったと いう話に興味をそそられました。 弓と海外生活とのマッチングのわけを ききたくて・・・・ 普段は、お客様のプライバシーにはこちらからは立ち入らない私がついつい 興味をそそられて、そこらあたりを聞いてしまいました。 なんのてらいも嫌なお顔一つせずに楽しく雑談となりました。 お若い頃に外国の方と結婚して,お仕事をしながらかなり長い事海外で生活を していて、ある日、癌と宣告され,離婚をして帰国して手術をして・・・胸筋,リンパ ,胸といわれる範囲はほとんど切除してしまい、リハビリの意味ではじめた弓が 今では、楽しくて楽しくてと、さらりとおっしゃった。 離婚、そして癌との戦い、突然、大津波がやってきたような事をどう対処して いったのでしょう。 想像もつかない葛藤があったでしょうに。。。 つまらない事で思い悩む事の多かった頃の私に渇をいれて下さった想いで深い おひとりです。 又お一方は、当店のパジャマが病院で評判が良くてと、病院から、外出許可を もらって来店された４０歳前後のその婦人は、いつも、ご主人かお母様がつき そいで季節毎に買っていかれ、そのうちに車椅子で来られるようになり、気に 入った物がない場合にはご希望を伺ってお探ししたりして、だんだんとしたしく おはなしするようになりました。 『放射線治療で髪の毛 抜けちゃったのよ〜』と帽子をとって見せてくれたり、 あまり気をつかわせることも無く他のお客様と変わりなく接客をしていました。 ただ、ご来店のたびにお顔を見ると,ホッとすると同時にうれしくてはなしが弾み ます。病院へもお見舞いにいってしまいました。この頃には寝返りをうつだけで 骨折してしまうと初めてかなしそうな顔をみせていました。 私のなかにも“命”という言葉が何となく現実味を帯びてきていたのを覚えています。 その後街で一人で歩いているお母様をみつけてお声をかけると抱きついて 泣き出してしまわえれて、何もいわれなくてもその悲しみは伝わってきます。 そして、はっとしました。いまでも、お店のセールや催事のDMでお知らせして いた事を･…そんな葉書を見たらよけいにでも悲しい想いをされたことでしょう。 『ごめんなさい〜』 これしかいえませんでした。 お母様は頭を横に振られておっしゃいました。今しばらくは出し続けてほしいと・・・。 あの子が嬉しそうにあなたのお店に行く顔がうかんできます。葉書をいただくことで、 あの子が生きているように思えるのです。 癌を克服して、命をあらたにもっらた人生とおっしゃる方、心をのこしつつ旅立って しまった方、ほんの少しづつ触れ合ってきました。 幸いな事に私はいままで闘病には縁がありません。若い頃は自分の有り余る 元気のせいか回りの方の病気をあまり心にとめることもありませんでした。 親が死に兄弟が1人かけ、親しい方があの世に旅立っていくこの頃“生と死”は いつも私のとなりにいるようなそんな年代に入ってきたと思うようになりました。 大げさなようですが、考えてみると・・・・ 如何に幸せな一生を過ごすかという大命題の前に個々､想いは違うでしょうけれど “心安らかに”人生を閉じられたらいい。 そう考えると、いや〜〜まだあれもこれも片付けなきゃ〜という宿題めいた物事が いっぱいあります！ するべき事もまだまだあります！ 雑多な執着心はかなり剥ぎ取られているとは思うものの 時々、三叉路や五叉路 で、堂堂巡りをしたりします。 その人に与えられた命を精一杯生きる事。単純でだれでも言えることだけど・・・ 深〜〜いなぁ〜とおもうのです。 （2003.2 ） |
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