− ネコと猫とバラの日々 (華子 つづき) −
生まれて初めて猫の目を見て美しい!!と、思ったのは華子
がはじめてです。
私、瀬戸内海の島で生まれました。母の実家への疎開先で
生まれ、ここで6年間すごしたのです。未だに闇に光るふたつ
の目の怖さは思い出します。
----幼い頃の印象は、かなり根深く残っているものです。--
と、いうのは、半世紀も前の田舎の事です。厠(かわや)と、
呼んでいたトイレは、住まいとは別にあり、一度そとへ、出て
行かなくては用が足せなくて、今のように アチコチに電灯が
あるわけでもなし、吸い込まれるような闇の中トイレに行く
のが どれほど怖かったか・・
どうしようもない時には縁側と畑の間の家族が見える所でしゃが
みこんで用を足そうとします。すると、畑の向こうにピカーッ
と、ふたつの光・・・これが又 厠に勝るとも劣らない恐ろしさ
だったのです。
その後、横浜に来てから一度 小猫を飼ったことがあります。
たぶん 動物好きの父が誰かの頼みで飼ったのでしょう。
この小猫がお腹を壊しては、父母の布団の上で粗相を繰り返して
いたのです。今思えば、トイレを家の中に用意してやれば済む事
だったのに・・この頃は出入り自由の家猫ばかりで、犬も鳥も金魚
もいた我が家は、どうも居心地が悪かったのか、すぐに旅に出て
しまったようで。
小猫の成長を見ないままの経験でした。
と、前置きのながーい話になりましたが、ネコの目が美しいと
心底思えたのは私にとってセンセーショナルな事だったわけです。
つづく
(メールマガジン第16号 2001年4月21日 掲載)
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